まとめ
このページは、死刑廃止を希求する宣言文と、その理由を掲載しています。
死刑廃止を希求する宣言
私は、死刑廃止を希求する。
私は、被害者遺族となっても死刑を望まない。
私は、死刑が不適切な刑罰であると考える。
死刑を望まない
私は、たとえ自らが犯罪の被害者や遺族となっても、犯人が死刑になることを望まない。
死刑、つまり人殺しを望むこと、それは自らが犯人と同じ殺人者になり下がることだと考えるからである。
私は、人を殺したくないし、殺すことに加担したくないのである。
たとえ、自らが犯罪の被害者や遺族となったとしてもである。
犯罪の被害者や遺族の気持ちを想うことと、憎悪を共有することは、同じではない。
死刑は極刑なのか
死刑は、極刑であろうか。
私は、死刑はただの「逃げ」だと考える。
犯人は、死ねば犯罪に向き合う必要も無くなる。
犯人は、死んで償えば、それですべて赦されるのか。
犯人が死ねば、それで犯罪は解決するのか。
いいや、違う。
私は、終身刑が極刑であると考える。
死刑は、残酷ではない。終身刑の方が、残酷である。(注1)
私は、犯人が人生を全うするまで逃げることは認めない。
本当に償わせるには、犯人には生き恥を晒させるべきだと考える。
(注1)死刑は残虐な刑罰ではないという最高裁判例がある。終身刑が死刑よりも残酷な刑罰であるとしても、終身刑であっても日本国憲36条にいう残虐な刑罰には該当しないと考える。
死刑は口封じである
死刑は不可逆である。元死刑囚を元死刑囚で無くすことは、できない。
元死刑囚は、事件について二度と語れない。事件を解明する場として、裁判だけでは不十分な場合も多い。その真相や経緯などが明らかになる可能性が閉ざされるのである。
仮にも、えん罪であった場合は、誰がどのように責任をとるのか。それこそ死んで謝罪でもするのだろうか。冤罪について死んで償ったとしても、元死刑囚が戻ってくる訳でもない。
時が経ち、加害者が当時のことを語ることだってあるかもしれない。加害者を抹殺したところで、被害が元に戻るわけでもないし、もちろん被害者や当事者であれば、加害者のことを憎く思うのは当然の気持ちであるが、かといって加害者の口を封じたところで、何も解決しないと考える。
議論できる土壌を醸成すべき
私は死刑廃止を希求しているが、現行法を遵守する。
一方で、死刑制度の是非について、もっと皆で議論すべきである。
国家が行う、首つり殺人と十数分放置、皆はその実態をどの程度知っているのだろうか。
日本の死刑執行は、あまりにも密室行われており、臭いものに蓋をするかのようである。
海外の死刑執行のように、被害者や報道機関の立ち合いを認めるなど、死刑執行に関わるすべての情報を公開し、皆が現行の死刑制度のあり方を(存続だけでなくその執行方法など、様々な論点について)活発に議論できる環境を、政府は整える責任があると考える。
死刑廃止 – ストックホルム宣言
アジア、アフリカ、ヨーロッパ、中近東、南北アメリカおよびカリブ地域からの200名以上の代表と参加者(注1)からなる死刑廃止のためのストックホルム会議は、
- 死刑がこの上もなく、残虐、非人道的かつ屈辱的な刑罰であり、生きる権利を侵すものであることを想起し、
- 死刑が反対派、人種、民族、宗教およびしいたげられた諸集団に対する抑圧の手段として、しばしば行使され、
- 死刑の執行が暴力行為であり、暴力は暴力を誘発しがちであり、
- 死刑を科し、それを執行することは、その過程に関わるすべての者の人間性を傷つけており、
- 死刑が特別な抑止効果を持つことはこれまで証明されたことはなく、
- 死刑がますます、説明不能な「失踪」、超法規的な処刑、および政治的な殺人の形をとりつつあり、
- 死刑執行が取り返しがつかず、しかも無実の人に科されることがありうることを考慮し(注2)、
自国の管轄圏内にあるすべての人の命を例外なく保護することが、国家の義務であり、政治的強制を目的とする死刑執行は、政府機関によるものであれ、他のものによるものであれ、等しく容認されえず、
死刑の廃止がこれまで宣言された国際的な基準の達成にとって不可欠のものであることを確認し、
死刑に対して全面的かつ無条件に反対すること、
いかなる形にせよ、政府により犯された、あるいは黙認されたすべての死刑執行を非難すること、
死刑の世界的規模での廃止のために活動すると誓約することを宣言し、
国内的および国際的な非政府系機関に対して、死刑の廃止という目的に資する情報資料を人々に提供するため、集団的および個別的に活動すること
すべての政府に対して、死刑の即時・全面的な廃止を実現すること
国際連合に対して、死刑が国際法違反であると明白に宣言することを要請する。
1977年12月11日
アムネスティ・インターナショナル 死刑廃止のためのストックホルム会議注1:法律家、裁判官、政治学者、心理学者、警察関係者、刑罰学者、神学者、ジャーナリストなどが含まれていた。
注2:ストックホルム会議では、この7つの事項の各々について論拠を提出している。
関連項目
外部リンク
- 日本弁護士連合会:死刑廃止を考える
- 死刑廃止 : アムネスティ日本 AMNESTY
- 「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と書いた人に訊きたい